ニルソン・ロペス/エル・バド農地


コーヒーという果実が持つポテンシャルが余すところなくカップに表現されている一杯


コロンビア ニルソンロペス ビニールテント内二段ベッドでの乾燥



久しぶりに最高のナリーニョ・マイクロロットが届きました。
コロンビア南部、特にナリーニョやウィラ、カウカといった地域の生産者たちが生み出すコーヒーには、
これまで何度も心を動かされてきました。
今回ご紹介するニルソン・ロペス氏のコーヒーは、そのナリーニョの真の力を感じさせる一杯です。


彼のコーヒーを口にした瞬間、その熟度の高さと育成環境の素晴らしさが鮮明に伝わってきます。
まず印象的 なのはその口あたりの軽やかさ。
ある程度のボリューム感はあるにもかかわらず、“かるい”と感じさせてくれる。


高地栽培特有の凝縮されたエキス分が、飲みごたえのある一方で、軽やかな飲み口をもたらしています。
立ち上がる風味は、華やかでエレガントなフローラルアロマです。
まるで花畑を思わせるような香りが鼻腔をくすぐります。


味わいの中心には、完熟した果実を思わせるジューシーな甘みと酸があり、
そこにロースト由来の程よい香ばしさが加わることで、立体的な奥行きが生まれています。


これらの要素が個々に主張するだけではなく、高次元で調和し絶妙なバランスを保っています。
特定のフレーバーが突出しているというよりも
コーヒーという果実が持つポテンシャルが余すところなくカップに表現されている印象です。


丁寧に育てられ、適切に処理された豆だけが持つ、濁りのない“クリ ーン”で充実した味わい。
それがニルソン・ロペス氏のカップクオリティです。
屈指の香味をぜひご体感ください。



コロンビア ニルソンロペス
 

ナリ ーニョ 県ブエサコ市メディナ・エスペホ。
ニルソン・ ロペス氏は渓谷沿いに、異なるいくつかの農地を所有・ 管理しています。
生産処理の拠点となるウェットミルに隣接した「サン・ アントニオ(San Antonio)」 、
そこから谷をさらに奥へと進んだ場所にあるニルソン氏のお母様が所有する「ガジナセーラ(Gallinacera)」、


そしてそのガジナセーラからさらに渓谷を登りつめた場所に位置するのが、
今回ご紹介する「エル・ バド(El Bado)」です。


これら農地の中でも、エル・ バドは最も標高が高くアクセスが容易ではない、人里から離れた場所に位置しています。
谷の最深部かつ最高地点という立地が独自のマイクロクライメイトを形成し、
エル・バドならではのテロワールが育まれています。

山奥のコーヒー産地へ辿り着くには険しい道のりを経る必要があります。
その労力に見合うだけの素晴らしいコーヒーチェリーが実る、
まさに秘境とも呼べる農地であろうことが想像できます。


ニルソン氏がこの困難な場所を選び、大切に守り続けている理由は、
そこに広がるテロワールの稀有な可能性を確信しているからでしょう。



コロンビア エルバド


エル・バド農地は標高2,050mから2,100mという、
コロンビア国内でも屈指の高地に位置しています。


通常、これほどの標高では夜間の冷え込みが厳しくなりすぎることがありますが、
この地域特有の地形がコーヒー栽培に絶妙な恩恵をもたらしています。


農地の麓には深い渓谷が通っており、日中に太陽によって温められた空気が
谷底から上昇気流となって農地全体を包み込みます。
標高2,000mを超える高地であっても夜間の極端な気温低下を防ぎ、
コーヒーの樹にとって理想的な微気候を形成しています。


この安定した気温環境と高地特有の強い紫外線、そして昼夜の適度な寒暖差は、
コーヒーチェリ ーの成熟プロセスをゆっく りと進行させていきます。
時間をかけてじっくりと熟成することで、複雑なフレーバーが蓄積されていきます。






現地の農業技師も、このメディ ナ・エスペホという土地を
「素晴らしいコーヒーが生み出されることが約束された特別な場所」と高く評価しています。


地形と気候が織りなす必然的な条件が、
この土地のコーヒーに唯一無二の個性を与えているのです。






品質を決定づけるプロセス設備においても、
ニルソン氏の徹底した管理体制が貫かれています。

レンガとコンクリートで建設された2階建ての施設は、
1階には倉庫とウェットミル(水洗処理設備)、 2階にはチェリー投入タンクと事務所が設けられ、
効率的かつ衛生的な作業が可能になっています。



コロンビア ニルソン・ロペス


発酵槽は2つ完備し、乾燥工程では、一般品用にはコンクリートパティオを使用する一方、 
ハイグレードコーヒーは専用のビニールテント内に設置された
2段式の乾燥棚(アフリカンベッド)を使用します。
テント内では温度と湿度を常時記録し、換気扇による空調管理が行われている。
理想的な乾燥環境を維持しています。


コロンビア ニルソン・ロペス


ドライミ ル(脱穀・ 選別)の工程もしっかりとしている。
脱穀、風力による粗選別、スクリーン選別、比重選別、電子選別を経て、最後に入念な検品が行われます。
基準に満たない場合は再選別を行い、必要に応じて手選別(ハンドピック)も実施します。

こうして幾重ものチェックを通過した豆だけが梱包され、出荷されます。
この妥協のない選別プロセスこそが、カッ プの透明感と信頼性を支える土台となっています。


 

生産者のニルソン・ ロペス氏は、彼は自身の農地や設備、
長年培ってきた精製方法のノウハウを独り占めすることなく、
周囲の生産者や視察に訪れる農業技師たちに惜しみなく 公開しています。

農地の手入れからプロセスの細部に至るまで非常に緻密であり、
環境への配慮と生産効率の両立が高いレベルで実現されています。
一方で、彼のコーヒー(農業)に対する思いは、自然への深い敬意というのが伺える。





「素晴らしいコーヒーは人間が作るものではなく、自然が与えてくれるもの」という謙虚な信念が、
彼のあらゆる仕事の根底にあるのだろう。
人間の役割は、その自然の恵みを損なうことなく、
最大限に引き出してカップに届けることであるとの旨を彼は語っています。


「人の手で品質を上げる事など微々たるものです。
肥沃な大地と特殊な気候が生み出したコーヒーの実を丁寧に収 穫・精製・乾燥することで品質の低下を防ぎ、
少しでも美味しい状態で出荷することが私たちの仕事です。」
                        
 −ニルソン・ロペス


この言葉通り、彼は自然が育んだ果実のポテンシャルを信じ、
それを守り抜く黒子としての役割に徹しています。

その真摯で実直な姿勢こそが、 このコーヒーが持つ純度の高い美しさに繋がっているのです。

 






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